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Earthquake

2008年7月24日の岩手県沿岸北部の地震について update 2008年7月29日

(注意) 下記内容は速報です.今後,内容が修正・更新されることがあります.


概要

 2008年7月24日0時26分,岩手県沿岸北部を震央とする深さ108kmのMj6.8(気象庁)の地震が発生し,2008年岩手宮城内陸地震(Mj7.2)以来となる震度6強が観測されました.この地震では,岩手県洋野町大野の自治体観測点において震度6強が,青森県から岩手県にかけての範囲で震度6弱が観測されています.震源の位置とそのメカニズム解から,本地震は太平洋プレート内部で発生した正断層型の地震であると考えられます(気象庁,防災科学技術研究所F-netなど).被害については,現在調査が進められているところです.


現地調査・分析など

・東北学院大学 吉田望教授: 7月23日の地震 震度6.4強の震度計周辺調査


現地調査

 未定


計測震度分布

 気象庁より公開された震度値(△),および防災科学技術研究所KiK-netの波形記録から計算した計測震度値(□)の分布.震源の位置と防災科学技術研究所F-netより公開されているCMT解も併せて示しました.震度の大きな領域が,東西方向に比べて南北方向に広がっていることが確認できます.


疑似速度応答スペクトル(減衰5%,N121E成分)のピーク値・ピーク周期分布

 防災科学技術研究所K-NETおよびKiK-netの波形記録から計算した疑似速度応答スペクトル(減衰5%)のピーク値・ピーク周期分布を描きました.マークの大きさがピーク値を,色の濃さがピーク周期を表します.震度分布と同様にピーク値の大きな領域が南北に広がること,またピーク周期が短周期側(< 1秒)にある観測点が青森県から岩手県にかけて南北に分布していることがわかります.


AVS30値の分布と重ねた計測震度分布

 日本の地形・地盤デジタルマップから推定されるAVS30(地表から深さ30mまでの平均S波速度)の分布(松岡・他,2005)と震度値を重ねて描きました.震度値の空間的な変化のある箇所とAVS30値の変化する箇所のいくつかに対応が見られます.


片側必要強度スペクトル

 疑似速度応答スペクトルのピーク値の大きなKiK-net IWTH02(玉山)とK-NET AOM012(八戸)の記録を,片側必要強度スペクトル(澤田・他,1998)で過去の地震(2004年中越地震・山古志,2007年能登半島地震・富来,2008年岩手宮城内陸地震・一関西)と比較しました.なお,減衰5%・許容最終相対変位10cmとしています.

 


謝辞: 本報告では,気象庁の震度情報,防災科学技術研究所のK-net,KiK-netの観測記録を参照させていただきました.また,AVS30の推定に日本の地形・地盤デジタルマップ(東京大学出版会)を使用しました.


文責 後藤浩之京都大学防災研究所

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