実践!地震防災教育

運営スタッフ

関西地震観測研究協議会 地震防災教育WG(以下、五十音順)

赤澤隆士(地域 地盤 環境研究所)、荒木正之((株)aLab)、一井康二(広島大学)
 岡本義雄(大阪教育大学)、後藤浩之(京都大学)、林能成(関西大学)
 根本泰雄(桜美林大学)、福岡龍史(エフエム・プランニング)
 山田雅行((株)ニュージェック)


開催報告

11月30日にイベント「実践!地震防災教育」を開催しました。授業経験豊富な先生が子ども達に授業をしている姿を実際に見てみよう、をテーマとして、午前は学校での授業見学会、午後は地震防災教育をテーマとした研究集会を1日にまとめて実施したイベントです。

このイベントは関西地震観測研究協議会の地震防災教育WGのメンバーが企画・運営し、防災研究所の特定研究集会としてサポートを受けて実施しました。関西地震観測研究協議会は関西地域で強震観測を行っているグループですが、その地震計のほとんどは小中学校に設置されています。学校にあるのだったら地震計を活かした教育的な取り組みができないだろうか、また地震計をベースとしたより広い意味で地震防災教育は考えられないだろうか、といったことをWGメンバーで議論していく中で、まずは実際にやってみよう、として企画したものです。

午前は京都府立桃山高等学校と立命館宇治中学校・高等学校が会場で、晴天に恵まれた中、両校併せて14名が見学しました。桃山高校では岡本義雄氏(大阪教育大学)が高校3年生の地学の授業の一環として、地震波の到達時刻から震源の位置を決める実習、震源のメカニズムと断層の関係を理解する実験などを行いました。その上で、防災のために生徒がすべき心構えとして、ベースとなる知識を苦しくても学ばなければならない、という話で授業が終わりました。

立命館宇治中学校・高等学校では中学校3年生を対象に、根本泰雄氏(桜美林大学)が体を動かして地震の波を実感する授業を、林能成氏(関西大学)が地震波の伝わり方、緊急地震速報とその心構えについての授業を行いました。前半の授業では、今回のイベント用に開発した手作り地震計を利用しました。100円ショップで揃うような材料を使っているので、誰でも簡単に作れます。これは、大学や研究機関の道具を使わないとできないような、敷居の高い教材を使わないことを目的としたものです。

午後はキャンパスプラザ京都で研究集会を行いました。基調講演は、一井康二氏(広島大学)による「幼児向け防災教育教材の製作を通じて考えたこと」、関谷直也氏(東洋大学)による「災害情報と防災教育」です。幼児向け防災教育教材の製作に携わっている一井さんから、幼児期における防災教育の意義や開発してきた教材の説明とともに、長く活動を続けるための「妙案」を教わりました(内容は参加者だけの秘密です)。また、多様な教材があることそのものが成熟した市場となる条件だろう、という話もありました。関谷さんからは、災害時の社会心理について丁寧に解説して頂きました。一般論として、災害教育のパラドクス/知識ギャップ仮説が挙げられましたが、まさに教育現場で防災教育を行う際の課題そのものだと感じました。

基調講演に引き続き、午前の授業を振り返りました。授業内容の説明に加えて、各学校の先生から講評を頂きました。授業担当者、スタッフのみならず、聴講者を含めた活発な議論が巻き起こり、会場一体となって学校教育現場での防災教育の実現に向けた真剣な議論が行われました。特に、現場の先生を活かした取り組み、つまり出前授業一辺倒ではないあり方を模索することの重要性が話し合われました。

最後になりますが、今回イベントを実施したことそのものが成果とは考えていません。イベントを通して学んだこと、議論したことをベースにこれから活動を展開していきますので、今後に期待してください。

(文)後藤浩之