益城町本震記録に関するお詫び


この度は皆様に多大なるご迷惑をお掛けしましたことお詫び申し上げます.

2016年に公開されました共著論文(Hata et al.,2016)につきまして,匿 名の方より益城町にて観測されたとするデータに関する資料提供が2017年 9月25日にありました.指摘を受け,観測記録とされるデータを改めて精査 したところ,提供された資料に記載の事実に誤りがないこと,すなわちデー タに重要な問題があることを確認いたしました.

http://wwwcatfish.dpri.kyoto-u.ac.jp/~sawada/notice_170927.html

当初よりデータの問題に気づき,論文の執筆ならびにデータ公開に至らな ければ,このような事態を防ぐことができました.分析力が欠如している との指摘があれば返す言葉もございません.分析が不十分であったために, 論文が出版され,データが提供される事態になりましたこと,大変反省し ております.

今回の資料提供までにも,別の方(ここでは匿名とさせていただきます) より異なる指摘が2016年12月19日に一度ありました.P波初動までの信号が 他の記録と比較して不自然なものではないか,というものでした.指摘を 真摯に受け止めデータの再分析を行えば,早期に問題点に気づき対応がで きた可能性がありましたが,地震計固有の応答特性かもしれない,と漠然 に考えたのみで,そのまま精査しておりませんでした.大変重要な機会を 逸してしまったこと,また情報提供頂いた方に誠意を尽くせなかったこと, お詫び申し上げます.

論文出版以降,2016年7月にデータ公開サイトを設営し,その運営を行っ て参りました.データ公開にあたっては,地震工学委員会のデータ提供サ イトを当初想定していましたが,土木学会員以外はダウンロードできない こと,英語による案内が用意されていないことから,独自の公開サイトを 大阪大学に設営することを提案しました.しかし,大阪大学では難しいと の話を受け,親切心から当サーバにてサイトを設営いたしました.結果と して,広く問題のあるデータが流布される事態となり,その一旦を担った ことは疑いのない事実です.大変申し訳ございません.

記録とされるデータは,非常に益城町にこれまででは考えられないような 強い揺れが生じていたことを示していました.このことから,その生じた メカニズムを明らかにすることが重要な課題であると考え,またその原因が 地盤にあるだろうと仮説を立て,益城町の地盤について研究するグループ を組織しました.地盤調査により益城町の地盤について様々な知見が得ら れることとなりましたが,その成果のひとつとして発表したBSSAの論文 (Goto et al., 2017)は,観測記録とされるデータと整合することをひと つの根拠としてあげてしまいました.結果として,調査に関わった皆様, またこの研究成果を受け入れて下さった多くの皆様を失望させることとなり, 申し訳ない気持ちです.本論文も含めて,これまで出版した関連論文 のうち,後藤が筆頭著者であるものにつきまして,取り下げ手続きを順次進め て参ります.

貴重な記録を広く研究や実務,そして広く社会に還元したいという思いで のことでしたが,それは結果として皆様に誤解を広げ,影響を拡大するこ とになりました.データを使用された関係者の皆様,ならびに熊本地震以 降,懸命に努力されている皆様に多大なご迷惑をおかけすること,深くお 詫び申し上げます.

なお事実関係を含め,公的な手続きを現在進めております.本件に関して動きがありましたら報告致します.

この度は誠に申し訳ございませんでした.

2017年9月28日
京都大学 防災研究所
後藤浩之



2017年10月4日
 文中に記載のリンク先が変更されましたので,URLのみ修正いたしました.