Japanese/English 

Earthquake

2011年2月22日にニュージーランド・クライストチャーチ近郊で発生した地震の地震動について update 2011年2月23日

(注意) 下記内容は速報です.今後,内容が修正・更新されることがあります.


概要

 現地時間2月22日12時51分にニュージーランドのクライストチャーチ近郊でMw6.3の地震が発生した(USGS).この地震では,クライストチャーチで建物の倒壊によるものと思われる犠牲者が発生している.GeoNetで公開されている強震記録を利用して,本地震の地震動の特徴を整理した.なお,USGSにより推定されているCMT解を利用している.


PGA/PGVの分布

 クライストチャーチで周囲より大きいPGA/PGVを記録している.なお,ここで示すPGA/PGVは水平2成分のベクトル合成値によるものであって,上下動成分については考慮していない.クライストチャーチ中心部では,およそ400cm/s/sのPGA,50cm/sのPGVを示している.


加速度波形の比較

 水平それぞれの成分の加速度波形を比較する.CHHCとCCCCの記録はPRPCと比較してフェーズが似ているものの,その形状が台形的(頭打ち)になっている.これは,兵庫県南部地震の際にポートアイランドで記録されたような地盤の非線形化による影響が考えられる.


速度波形の比較

 断層走向をN60E方向と仮定し,それに直交する成分の速度波形を比較する.PRPCでパルス状のフェーズが確認できる一方,CHHC,CCCC,SHLCでは明瞭ではない.ただし,継続時間は長く,浅い構造・深い構造いずれの影響によるもの判別はできないが,柔らかい地盤構造の影響が考えられる.


疑似速度応答スペクトル(減衰5%,N150E成分)のピーク値・ピーク周期分布と代表的なスペクトル形状

 クライストチャーチ中心部で,疑似速度応答スペクトル値が200cm/s前後を記録し,かつその卓越周期が1-2秒であることが特徴である.過去の記録と比較すると,兵庫県南部地震時の記録より振幅は小さいものの,ピーク位置とその形状はJR鷹取のスペクトル形状ににていると考えられる.


クライストチャーチ中心部の加速度波形

 クライストチャーチ中心部で観測された複数の加速度記録を直接比較する.CCCC,CHHC,CBGSの3観測点ではフェーズの似た加速度記録が観測されている.これらは5km以内で狭い範囲にあること,地盤条件が類似していること,地震動を放射する領域からの方位がほぼ等しいことが考えられる.また,CBGSではサイクリックモビリティに対応すると思われるスパイク状のフェーズが観測されている.


謝辞: GeoNetで公開されている強震記録を利用させて頂きました.記して感謝致します.


参考文献

1) USGS:http://www.usgs.gov/

2) GeoNet:http://www.geonet.org.nz/


文責 後藤浩之京都大学防災研究所

Mail to : gotocatfish.dpri.kyoto-u.ac.jp (@は半角の@に置き換えて下さい)